眼内レンズの種類と見え方の違い
眼内レンズとは白内障手術時に取り出した水晶体の代わりとなる人工の水晶体です。
眼内レンズには「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2種類があります。通常の白内障手術に際して移植される眼内レンズは「単焦点眼内レンズ」です。
単焦点眼内レンズを用いても手術前に比べれば大幅な改善が得られますが、ピントの合う範囲が遠方か近方のいずれかに限られているため、遠方か近方を見る時のどちらかは眼鏡が必要となります。
これに対し「多焦点眼内レンズ」では遠方と近方の両方にピントがあうため眼鏡への依存を減らすことができます。
- 単焦点眼内レンズの見え方
- 多焦点眼内レンズの見え方
多焦点レンズの特徴について
長所 | メガネなしで遠方と近方が見える |
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短所 | 夜間のライトがにじんで見えることがある 手術費用が全額自己負担になる |
適した人 | 白内障手術後になるべくメガネなしで生活を送りたい方 |
多焦点レンズの費用について
片眼 | 20万~30万円(税込) |
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両眼 | 40万~60万円(税込) |
(選定療養のため別途、白内障手術費用がかかります)
当院で使用する多焦点眼内レンズについて
テクニスマルチフォーカル
遠距離・中距離・近距離など患者さんのライフスタイルに合わせて焦点を調整することができ、特に近距離~中距離(30cm、40cm、50cm)のどの辺に焦点を合わせるかで、白内障手術後の眼鏡(コンタクト)の依存度を低減する事ができる眼内レンズです。
2焦点の回折型多焦点眼内レンズで、回折型構造による光量のロスは20%です。光量配分は遠方40%と手元40%です。瞳孔の大きさの影響を受けませんので、暗所でも手元が比較的見やすいですが、夜間運転時のハロー・グレア現象が気になる方もいらっしゃいます。国内で最も実績のある眼内レンズです。
パンオプティクス
国内初の承認を受けた3焦点眼内レンズです。現在、世界で最も普及している3焦点眼内レンズで、より自然に順応するように設計されています。
老視と乱視を同時に矯正できる白内障治療向け3重焦点眼内レンズ「AcrySof® IQ PanOptix® Trifocal トーリック」も選択可能です。
「手元」40cmと「中間距離」60cmと「遠く」の3焦点にピントが合うように設計されているメガネがほぼ不要の多焦点眼内レンズです。角膜乱視は約2.5Dまで矯正可能です。
テクニスシナジー
焦点拡張型+回折型を組み合わせたハイブリット型というレンズ設計で国内初承認となったレンズです。すでに欧州ではよく使用されているレンズであり、評価も高い眼内レンズになっています。近方から遠方にピントが合いやすいレンズです。手元を見る際は眼鏡が必要になることもあります。昼夜を問わず高い視機能が維持でき、低照度下においても鮮明な見え方でコントラスト感度が高い為、見え方の質が良いことも特徴です。